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正常細胞に模倣した子宮頸部高度前がん病変の形態学的特徴を発見 ― トリアージ細胞診検査の偽陰性率の改善が期待 ―(検査技術学科 岡山 香里 准教授)

本学医療技術学部検査技術学科・本学大学院保健科学研究科の岡山 香里 准教授は、杏林大学保健学部 大河戸光章准教授、金沢医科大学 笹川寿之教授、こころとからだの元氣プラザ婦人科 小田瑞恵部長との研究チームで多種のHPV(Human papillomavirus)高感度に検出する独自のHPV検査法と細胞診検査のスライドガラス標本上の標的細胞を単離するための独自の顕微鏡解剖法を併せた新しいアプローチにより、正常細胞を模倣した前がん病変の形態学的特徴を世界で初めて明らかにし、Journal of Medical Virology誌に公表しました。この研究成果は、子宮頸がん検診で懸念されているトリアージ細胞診検査の偽陰性の減少に寄与できるものです。以下にその概要を報告します。

子宮頸部の前がん病変や浸潤癌を早期発見するために、欧米では、HPV検査とトリアージ細胞診検査による検診が行われています。しかし、細胞診検査の偽陰性の多さが懸念されており、その原因の1つは、未熟化生細胞 (正常細胞) に模倣した高度前がん病変細胞の詳細な細胞所見の認識ができていなかったことにあります。

そこで、本研究チームは、独自開発した多種のHPVを高感度に検出できるHPV検査法とスライドガラス標本上の標的細胞を単離する顕微鏡解剖法の2法を用いて解析した結果、未熟化生細胞に類似した高度前がん病変細胞と病変に由来しないHPV陰性の未熟化生細胞との間に形態学的差異があることを明らかにしました。

これらの結果により、細胞診標本上の未熟化生細胞に対して客観的な形態学的指標で高度前がん病変由来細胞を診断することが可能になりました。この研究成果は、トリアージ細胞診検査の偽陰性率の減少を目指す上で重要な知見として、今後広く活用されると思われます。

 

詳細は下記URLをご覧ください。

正常細胞に模倣した子宮頸部高度前がん病変の形態学的特徴を発見― トリアージ細胞診検査の偽陰性率の改善が期待 ― 筆頭・責任著者 大河戸 光章 (保健学部 臨床検査技術学科 准教授)

 

掲載論文

発表雑誌名

Journal of Medical Virology

 

論文タイトル

Cytological features of human papillomavirus-infected immature squamous metaplastic cells from cervical intraepithelial neoplasia grade 2

 

著者

Mitsuaki Okodo 1*, Kaori Okayama 2, Koji Teruya 3, Ruku Shinohara 1, Shuichi Mizuno 1, Rei Settsu 1, Yasuyoshi Ishii 4, Masahiko Fujii 4, Hirokazu Kimura 2, Mizue Oda 5

著者(日本語表記)

大河戸 光章1* , 岡山 香里2 , 照屋 浩司3 , 篠原 瑠宇空1 , 水野 秀一1 , 摂津 黎1 , 石井保吉4 , 藤井 雅彦4 , 木村 博一2 , 小田 瑞恵5

*責任著者

 

所属

1.杏林大学 保健学部 臨床検査技術学科,2.群馬パース大学 医療技術学部,3. 杏林大学 保健学部 健康福祉学科,4.こころとからだの元氣プラザ臨床検査部,5. こころとからだの元氣プラザ産婦人科

 

本研究はJSPS科研費(23K09676)の助成を受けて行われました。

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