リハビリテーションの考え方の枠組となるICFを徹底的に学びます。障害をもちながらも、質の高い生活、喜びや生きがいのある人生を送ることがリハビリテーションの理念です。地域での生活や人生を支援するために、本学科では、知識としてだけではなく、実際に肌で感じることでICFの本質を理解することを学生に求めます。そのために、学生は障害の模擬体験(言語障害だけでなく肢体の制限も行う)をして、生活や地域参加への影響を実感することから始めます。

学科の特徴Feature
群馬パース大学の
言語聴覚学科ってどんな学科?


ICF(国際生活機能分類)に沿ったリハビリテーション
リハビリテーションは、機能訓練を指すのではなく、障害によって変化した生活、人生、人としての権利、喜びなどを取り戻すための過程の全てを指します。ICFというのは、適切なリハビリテーションを実践する際の、世界で認められた枠組です。言語聴覚学科は、このICFに沿って、患者さんの現状を的確に把握し、ICFをよりどころに、患者さんが望まれる生活、そして地域社会への参加(復帰)を実現するための最善のリハビリテーションが実施できる言語聴覚士を養成していきます。


苦痛ではなく喜びのリハビリテーション
日本では、障害をもった方は、ご自身の変化をマイナスにとらえやすく、リハビリテーションも苦痛を伴うものになりがちです。しかし、世界を見渡すと、苦しみではなく楽しみながらのリハビリテーションが効果をあげています。子供や認知症の方に、決して苦痛をもとめず、障害を持ちながらも、住み慣れた場所で当たり前に生活し、穏やかで、喜びに満ちた生活、意味のある人生を送っていただける方法を楽しみながら見つけていきます。


アクティブラーニング中心の学修方法
言語聴覚学は、わずか20数年前に国家資格が制定された非常に新しい領域で、これから大きく急速に発展していくことが期待される分野です。教室に座って教員の話を聞くだけの受け身の学修でどんなに知識を増やしても、患者さんを目の前にしてできることは限られます。必要なのは、知識よりも「自分で学ぶ」「調べる」「考える」「想像し創造する」そして「発信する力」です。そのために、言語聴覚学科は、学生が自ら学ぶアクティブラーニングを大胆に取り入れます。
リハビリテーション学部の特徴
4年間の学びLearning
教育研究上の目的・養成する人材像
高いコミュニケーション能力を有し、他者や地域に貢献する意識、新たな課題や未知の課題を創造的に解決しようとする意欲、さらに専門知識・技術を生涯にわたって学習し続ける倫理観を有する人材養成を目指します。
言語聴覚士の役割の理解に基づき、人が地域で生活する視点に立ち、高次脳機能障害・言語発達障害・運動系障害及び聴覚系障害を持つ対象者のコミュニケーション能力の評価はもとより、活動、地域・社会参加の生活機能を多面的に支援でき、また、その方法の開発に関わろうとする姿勢を培うことを教育目的とします。
学びの流れ
1年次
2年次
3年次
4年次
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言語聴覚士の
責任と役割を理解言語聴覚士は、どのような状況においても、患者さんのために「安全で質の高い」言語聴覚療法を提供する責任があります。この重要性を理解し、遂行できる人格を形成するために、教養科目や医療の基礎を学びます。
臨床実習
見学実習(1週間)
見学実習 1年次後期
(10月)臨床実習指導者が行う言語聴覚療法を見学します。学内で学んだ知識や技術を臨床現場での実践と結びつけていきます。学び紹介
ICFとリハビリテーション
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言語聴覚障害の
基礎を理解言語聴覚学は、聞こえの障害から、認知症や発話障害と極めて多様であり、それらを理解するために、医学はもちろん音声学や心理学など広く理系から文系に広がる基礎知識を、専門基礎科目を中心に学習します。
臨床実習
観察実習(3週間)
観察実習 2年次後期
(2月)対象者の情報と心身の状態や行動の観察を行い、疾患による言語聴覚や摂食嚥下への影響を考え、病歴などを適切な表現を用いて記録していきます。学び紹介
地域参加支援演習
言語聴覚学科のアクティブラーニングの象徴的科目です。リハビリテーションは、障害のある方が地域で生き生きと暮らすことを目指しますが、それを阻む地域の壁が存在します。学生は、自分で障害のある方のニーズを調査し、地域や社会への参加を支援する事業を企画し、事業を実践運営します。自分で調べ、考え、想像・創造し、発信する力を身につけられる科目です。
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責任を果たせる
言語聴覚士を目指す障害を最大限軽減し、さらに障害があっても、その方らしい生活を営み、より豊かな人生を実現するために、適切な評価と最善の支援によって、言語聴覚士の責任を果たすことを、専門科目を中心に学んでいきます。
臨床実習
評価実習(6週間)
評価実習 3年次後期
6週間(10~11月)対象者の身体・行動の観察、情報収集、言語聴覚や摂食嚥下の列挙と明確化などを行います。また、ICF評価に基づき対象者の活動・参加の課題を抽出し、課題解決・改善のための支援計画を立案していきます。学び紹介
AACと教材学
低下した言語能力を拡大・代替コミュニケーション(AAC)で確保することも重要です。AACを適切に選択し使いこなす練習をすることで、能力の低下が著しい場合でもコミュニケーションの喜びを取り戻せることがあります。また、楽しくリハビリテーションをするためには、適切な教材を選ぶだけではなく、時に1人の患者さんのために教材を創作します。AACや教材の特性、使い方、適用、応用を自分も楽しみながら学ぶ科目です。
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未来を創る
言語聴覚士を
目指す言語聴覚士は、将来にわたり患者さんを第一に考えます。そのために、常に新しい知識を学び続け、また新しい技術の構築に寄与するために必要な謙虚、誠実、想像、そして創造の力を、卒業研究や演習、実習などを通じて学びます。
臨床実習
統合実習(6週間)
統合実習 4年次前期
6週間(5~6月)3年次までに学修した知識や技術をベースに、臨床場面で言語聴覚療法におけるリハビリテーションの計画立案と実践を行います。その中で、対象者やご家族、他職種との良好なコミュニケーション態度も身につけていきます。
開講科目Curriculum
専門
科目群専門基礎
科目群教養科目群・
共通基盤科目群
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専門科目群は、「言語聴覚障害学総論」、「失語・高次脳機能障害学」、「言語発達障害学」、「運動系障害学」、「聴覚障害学」、「演習」及び「臨床実習」の7区分から構成されます。障害別の科目は、それぞれ、概論、評価、及び支援論として構成し、主に2、3年次に配置し、3年次の評価実習までに、臨床各論の学習を可能としました。「評価」は、ICF評価まで含むものとし、「支援論」は、生活や地域・社会参加を含むために、「治療学」ではなく「支援論」と命名しました。評価から実践まで一貫して演習を行うよう配置しています。
言語聴覚障害学総論
言語聴覚士としての基本となる学びとして、「言語聴覚障害学概論」、「言語聴覚障害学演習」、「言語聴覚障害診断学」、「地域リハビリテーション」を1年次に必修科目として設置しました。「言語聴覚障害臨床論」及び「地域参加支援総論」を4年次の必修科目とし、社会参加の支援の理解を深める構成としました。失語・高次脳機能障害学
「失語症学」及び「高次脳機能障害学」を2年次に、「失語・高次脳機能障害評価法」及び「失語・高次脳機能障害支援論」を3年次に必修科目として配置しました。支援については、家族を含めた心理面のサポートなどの環境調整、及びさらに広い意味での社会の働きかけが必要なことを学びます。言語発達障害学
「言語発達障害学」を2年次に、「言語発達障害評価法」及び「言語発達障害支援論」を3年次の必修科目として配置しました。子どもの能力の範囲で、生活や地域参加が少しでもスムーズにできるようにスキルを高める支援を学びます。運動系障害学
発話や摂食・嚥下の障害がおこるメカニズムや症状及びプログラムの違いを「病理音声学」で、検査手順、解析、プログラム立案の具体的手技を「発声発語・嚥下障害評価法」により2年次に学びます。「器質性・機能性発話障害支援論」、「運動性発話障害支援論」、「非流暢性発話障害支援論」、及び「摂食・嚥下障害支援論」を3年次の必修科目として配置しました。聴覚障害学聴覚障害学
「聴覚障害学」及び「聴覚検査法」を2年次に、「聴覚補償」、「先天性聴覚障害支援論」、及び「後天性聴覚障害支援論」を3年次に必修科目として配置しました。補聴器や人工内耳などの聴覚補償、情報補償の限界についても理解し、社会や地域がどう対応すべきか考えます。演習
「地域参加支援演習Ⅰ」及び「地域参加支援演習Ⅱ」の必修科目は、地域参加支援にあたって、個人のみを支援するのではなく、地域の側に働きかけての支援を実践することを特徴とします。「聴覚障害演習」、「運動系障害演習」、「言語系障害演習」、及び「小児系障害演習」を3年次の選択科目とし、各障害領域の実践の理解を深めることを可能にしています。また、自らの研究する姿勢と能力を養うことを目的に「卒業研究」を設けました。臨床実習
臨床実習は、見学実習(1年次)、観察実習(2年次)、評価実習(3年次)、統合実習(4年次)と段階的に行い、最終的な目標は、卒業後、臨床現場での経験・指導により、1年程度で言語聴覚士としての基本的な実務に携われることとしています。臨床実習の特徴は、すべての実習においてICFに沿ったリハビリテーションの実践を学ぶことを目的とする点です。学生は、常に患者の全人格に目を向け、障害によって低下した機能を評価するだけでなく、その生活上の困難や地域・社会への参加の制限を評価し、その全体を支援することを学びます -
専門基礎科目群は、『基礎医学』、『臨床医学』、『臨床歯科医学』、『音声・言語・聴覚医学』、『心理学』、『言語学』、『音声学』、『音響学』、『言語発達学』、『社会福祉・教育』の10区分で構成しています。
基礎医学
基礎医学では、解剖学の考え方、概要、全身解剖である「解剖学総論」に加えて、言語中枢、発声発語と摂食・嚥下の運動、聴覚に関する「局所解剖学(言語・聴覚・発声・嚥下」を設置しました。この他、「医学概論」「基礎生理学」、「基礎病理学」、及び「医療危機管理(窒息・誤嚥・吸引含む)」を設置しました。臨床医学
聴覚言語障害に関わる「内科学」、「小児科学」、「精神医学」、「耳鼻咽喉科学」、「神経内科学」、「形成外科学」、「脳神経外科学」、及び「リハビリテーション医学」に加えて、リハビリテーション看護、理学療法、及び作業療法の概要と、基本的介護、機能訓練など、具体的な手技の基本を理解する「リハビリテーション関連領域実技実習」を必修科目としました。臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学
臨床歯科医学及び音声・言語・聴覚医学は、聴覚言語障害をもたらす原疾患、検査・評価、治療、予防等、臨床実践における言語聴覚士の役割について学修します。心理学
臨床に応用される「臨床心理学」から、後述の「言語発達学」とも関係する「生涯発達心理学」、また、学習や認知に関わる「学習・認知心理学」、各種検査法の理解につながる「心理測定法」まで、幅広く学ぶ。言語学、音声学、音響学
これらの科目群は言語聴覚療法が固有に必要とする科目です。実際の患者の症状を、言語学及び音声学的手法で分析する演習を取り入れ、学生がそれぞれの知識を結び付けやすくするよう工夫します。言語発達学
知能や言語の発達との関係によって障害に対する支援が異なることから、「言語発達学」では正常な言語発達についての理解を深めます。社会福祉・教育
必修科目として「ICFとリハビリテーション」、「AACと教材学」や「臨床スキル論」を配置し、苦痛を乗り越えて成果をもとめるリハビリテーションではなく、生活の喜びとなるリハビリテーションを実現するために有効なスキルや教材を学ぶものとしています。また、「チーム医療とリハビリテーション」、「社会福祉制度・関連法規」を必修科目として、「リハビリテーション経済学」、「地域社会学」を選択科目としてそれぞれ配置しました。 -
学部共通開講とし、ひとりの人間としての教養、現代社会の要請に対応できる教養、そして将来リハビリテーション職に就くものとしての幅広い教養を身につけることを目指した科目を設定しています。
医療専門職として必要なコミュニケーション能力の獲得、あふれる情報を整理できる人工知能やロボット、家族社会学、生活文化と医療などが履修できるように科目を設けています。
さらに、初年次において、大学における学びの基本姿勢とスキルの習得、及び専門への姿勢・態度とスキルの基礎を習得するとともに、複数の職種との「連携論」の理解を促し、将来チーム医療を行うことのできる資質を身につけるための『大学の学びの基盤』領域を設定しました。人と社会及び自然の理解
『人と社会及び自然の理解』の領域は、「心身の発達」、「思想及び表現」、「人間の生活及び社会の理解」、「自然の原理及び環境」の4区分で構成しています。①「心身の発達」
人間理解を深め豊かな人間性を養うために「心理学」、「教育学」、「教育心理学」を置き、作業療法学科では「心理学」と「教育学」を必修科目としました。また、健康スポーツ理論と概要を理解すること、及び運動の実践を通して心身の健全な発達を促し、運動能力の養成や健康的な生活を営むことを目的とした「健康スポーツ理論」、「健康スポーツ実技」をそれぞれ設定しました。
②「思想及び表現」
人の誕生から死までの間に起こりうる様々な倫理的問題について考え、命の大切さを認識し、医療人として身につけるべき倫理観を養うことを目的に「生命倫理」を専門教育と並行させてより深く理解できるように3年次での開講としました。また、社会生活を送るうえで必要となる基本的な知識と複合的な視点を身につけ豊かな人間性を涵養するための科目である「人間と宗教」、「芸術」を1年次に、「哲学」、「現代文学」を2年次の選択科目として配置しました。
③「人間の生活及び社会の理解」
現代社会を幅広い視野から理解する思考を養うため、「法学(日本国憲法を含む)」、「家族社会学」、「生活文化と医療」、「経済学」を選択科目として配置しました。これからの社会の変化に対応すべく「人工知能・ロボットと社会」は必修としました。また、建学の精神の中で唱えている「平和で公正な社会の発展」の意義を実践的に理解するための「人間関係・コミュニケーション論」を必修科目、「地域ボランティア活動論」を選択科目として設定しました。「人工知能・ロボットと社会」以外の科目は2年次の開講とし、対象となる環境の理解を深めることを狙っています。
④「自然の原理及び環境」
身近な環境から地球全体を見つめ、環境を守る・保護する意識を高めるために「環境学」を配置しました。また、本学における専門基礎・専門科目への円滑な導入を図るうえで必要となる自然科学に関する基礎的な知識の習得と科学的な見方や考え方を身につけるための科目として、「基礎生物学」、「生物学」、「基礎数学」、「基礎化学」、「化学」、「基礎物理学」、「物理学」の7科目を履修者の状況に応じて対応可能な科目として1年次に配置しました。さらに、「基礎統計学」については、将来コンピュータやAI など、データ分析の情報を取り扱うことが可能となるよう必修科目として配置しました。情報と言語の理解
『情報と言語の理解』領域は、「英語」、「初修外国語」、「情報」の3区分で構成しています。①「英語」
本学では国際交流に重きを置いています。そのため、社会人として備えておくべき素養としての語学能力の重要性や保健医療分野の国際化に鑑み、外国人とのコミュニケーション手段としての語学力の習得を目指しています。リハビリテーション学部においても、国際的なコミュニケーション手段のスタンダードである英語を重点科目とし、「英語リーディング」、「医療英語英会話」、「医療英語リーディング」を必修科目として設定しました。さらに、「英語会話」を選択科目として配置しました。②「初修外国語」
多文化理解を深めることを目的に、初修外国語としてアジアの「中国語」、及び「コリア語」の2言語、ヨーロッパから「ドイツ語」及び「ポルトガル語」の2言語をそれぞれ選択科目として配置しました。③「情報」
ロボットやAIテクノロジーなど、最新の知識や技術を活用した生活インフラを確保することはリハビリテーションにおいて重要です。その基本的な知識の習得のために「情報処理」を必修科目として設定しました。また、情報通信機器にあふれる現代社会を生きるために、情報通信技術を使う際の基本的なルールやモラルについて学び、自らの学習や研究、将来医療専門職として仕事に利用するための情報セキュリティの考え方を学ぶための科目として「情報リテラシー」、ビッグデータやAI、機械学習などを経て、様々な問題解決を行うデータサイエンスの基礎を学ぶ「データサイエンス入門」を選択科目として設置しました。先に述べた「人間の生活及び社会の理解」の「人工知能・ロボットと社会」と同様に、これら科目は1年次からの開講としました。大学の学びの基盤
リハビリテーション学部では、学部共通の初年次教育として、大学での学び方、学生生活の送り方など学びの基盤となる共通基盤科目「大学の学び入門」を置いています。同時に、専門への導入として「大学の学び-専門への誘い-」を配置し、大学での学びの基礎、専門に向かう姿勢・態度及び高度な知識を学ぶための基礎的なスキルを習得できるようにしました。
続いて、2年次にチーム医療の重要性を学ぶ「多職種理解と連携」を配置しました。現代の医療では職種が多様化し、連携が不可欠です。そのため連携の第一歩としては、自分の専門以外の職種の理解が重要です。この科目では複数の職種と連携論の理解を促し、将来チーム医療を行うことのできる基礎を育みます。
キャリア・就職Career Support
求人件数
※言語聴覚士養成校1校に対する2019年度の求人施設数
高い就職率を支える
サポート体制
- 就職に関する悩み・不安を解消キャリアサポートセンター
- 学科教員による個別指導
- 求人票の検索が可能WEBポータルシステム
- キャリア関連のイベント大学独自開催