医療技術学部 臨床工学科 の 齋藤 慎 講師が、11月2日(日)に行われた第24回日本血管血流学会学術集会において、「優秀演題賞」を受賞しました。

【演題名】
赤外線照射は血管新生関連遺伝子の発現を誘導する
遠赤外線(Far-Infrared Radiation:FIR)療法は、閉塞性動脈硬化症や糖尿病などによる下肢潰瘍の治療に広く用いられており、血管新生*を促進することで病態の改善に寄与すると考えられています。しかし、その治療効果に関わる分子メカニズムについては、依然として十分に解明されていません。
*血管新生とは:既存の血管から新たな血管が枝分かれして増えていく生理的な現象のことです。
本研究では、FIR照射による分子機構を明らかにすることを目的として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)にFIRを照射し、血管新生関連遺伝子の発現変化を網羅的に評価しました。その結果、FIR照射が血管新生関連遺伝子群の発現を誘導することが示唆されました。
FIR照射による作用機序が解明されれば、下肢潰瘍治療における科学的根拠(エビデンス)の確立につながり、臨床現場でのFIR療法のさらなる普及が期待されます。これにより、下肢切断のリスクを抱える患者をより多く救済できる可能性があります。
【齋藤講師の受賞コメント】
日本血管血流学会学術集会での初めての発表でしたが、このような形で評価いただき、大変光栄に存じます。本研究成果を基盤として、今後は血管新生に関与するタンパク質の発現や機能を詳細に解析し、プロテオーム解析を通じて血管新生の分子メカニズムをさらに明らかにしていきたいと考えています。
▼発表当日の様子

齋藤講師、このたびは受賞おめでとうございます!