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ドッキングシュミレーション解析の結果、ファビピラビル(アビガン®)の詳細な新型コロナウイルス増殖抑制機構を明らかにしました

 この度、群馬パース大学大学院 木村博一(キムラヒロカズ)教授(59 歳)の研究チームが、杏林大学医学部、札幌医科大学、日本大学理工学部、国立感染症研究所ならびに横浜市立大学医学部との共同研究で、インフルエンザの治療薬の一種であるファビピラビル(製品名:アビガン錠200mg®、製造販売元:富士フイルム富山化学)の新型コロナウイルス増殖抑制機構をドッキングシミュレーションという手法を用いて、分子レベルで明らかにし、微生物の専門誌(Microorganisms, Sada et al., 2020)に掲載されました。これらは、ファビピラビルの新型コロナウイルス治療薬候補としてのエビデンスを提供し、今後の創薬にも役立つ成果です。以下にその概要を報告します。
現在のところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、レムデシビルやデキサメタゾンが標準的に活用されるようになってきているほか、いくつかの市販薬(ファビピラビル、シクレソニドなど)が、本感染症の治療に有効であることが示唆されています。 ファビピラビルは、新型インフルエンザウイルス感染症治療薬として、国内で製造販売承認を取得している医薬品です。また、別の効果として、この抗ウイルス薬が新型コロナウイルス感染症に効果があるとのデータを示されていますが(Esposito, S et al., Le Infezioni in medicina 2020, 28 (2), 198-211)、その詳細は不明でした。
 そこで、新型コロナウイルスのゲノム複製に関与するウイルスタンパク質(RNA依存性RNAポリメラーゼとNSP15)とファビピラビルとの相互作用を先端バイオインフォマティクス技術ならびに高性能コンピューターを駆使したドッキングシミュレーションという手法を用い、ファビピラビルの分子レベルでの抗ウイルス効果を詳細に研究しました。その結果、ファビピラビルは、新型コロナウイルスゲノム複製を司る酵素であるRNA依存性RNAポリメラーゼの活性中心付近と結合するだけでなく、ウイルスゲノムの複製末端にファビピラビルが取り込まれ、ウイルスゲノム複製を停止させることを明らかにしました。一方、ファビピラビルは、ウイルスゲノム修復酵素(NSP15,エンドヌクレアーゼ)には作用しないということもわかりました。今後これらの結果は、ファビピラビルの分子レベルでの新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用のメカニズム解明に貢献するだけでなく、今後の新しい抗ウイルス薬の設計などの創薬にも役立つ情報として期待されます。
 なお、これらの結果は、試験管内で実験により再現を確認することが必要と思われます。

 

※本研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「病原体ゲノミクスを基盤とした病原体検索システムの利活用に係る研究(20fk0108103h0202)」の支援を受けて行われました。(https://www.amed.go.jp/program/list/11/02/002.html)

 

●教員紹介ページ:木村博一教授