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言語聴覚士の役割で大切なことは、「聞く」「話す」「読む」「書く」といったコミュニケーションや、「話す」ためと同じ器官をつかう「食べる・飲み込む」ことに課題を抱える方に対し、機能の習得あるいは回復のお手伝いをし、さらに、機能制限が残っても地域や社会で豊かな人生が過ごせるよう支援する医療職です。
※病院・クリニックでの言語聴覚士の
1日の流れの一例です。
始業・情報収集・ミーティング
一日の業務を円滑に行えるようにミーティングを行います。
言語・発話の練習
発語器官の運動を行って、筋力を回復したり、運動の正確性を高めたりします。また、絵カードや文字カード、その他の教材を用いて、実際に発話をしてもらいながら機能回復を図ります。
嚥下造影検査(X線)
食べたものが誤って気管や肺に入ってしまう誤嚥が起こっていないか、誤嚥が起こる原因はなにか、どのような訓練で改善するか、食事形態など適切な対応はなにかを判断する有効な検査で、診療放射線技師などと連携して行います。医師の補助として参加して、時に意見を述べます。
食事のリハビリ
摂食・嚥下障害者の毎回の食事は、それ自体が大切な訓練です。 食事の形態や、食べる姿勢、一口の量、噛み方、飲み込み方などを実際の食事場面で確認し、難しいところがあれば指導したり、方針の変更も行います。
休憩
認知機能の検査・練習
注意が散漫になってしまう、感情をうまく表すことができない、物の使い方がわからなくなるなどの症状を検査し、必要に応じて訓練を行っていきます。脳機能のトレーニングとして、パズルや迷路、計算などに取り組んでもらうこともあります。
カンファレンス
患者さんの希望する生活を送ることができるように、職種間で情報共有し、目標達成するための方針を話し合います。その患者さんに関わる全ての職種が専門性に基づき議論し、対応を共有することで、患者さんにとっての最善のリハビリテーションを目指します。
記録記入
終業
地域に差がありますが、全国的には、まだ言語聴覚士は不足しています。特に地方では、言語聴覚療法を必要としながら、適切なサービスを受けられない方が少なからずいます。絶対的な数の不足だけでなく、言語聴覚士の知名度がまだ低かったり、必要性に対する認識が低かったりと要因は様々です。しかし、近年では摂食・嚥下障害の方や認知症の方への言語聴覚療法による支援の必要性が高まり、求人は増える傾向にあります。
全国的にみても求人数よりも求職者が少なく、国家試験に合格した卒業生の就職率はどの養成校でもほぼ100%です。
一般的に、その地域の公立病院の言語聴覚士の給与が基準になっていることが多いようです。また、病院勤務の言語聴覚士の給与は理学療法士や作業療法士と同等で、新卒でおおよそ月額19~23万円程度です。
※・・・2019年度国家試験合格率(新卒・全国平均))
コミュニケーションに関心があり、コミュニケーションを楽しめる人が良いでしょう。ここでのコミュニケーションは、必ずしも「ことば」によるコミュニケーションを指すものではありません。「ことば」を介さなくても、人との関わりの中で、相手の表情や行動、仕草などから対象者の気持ちを推測するようなことも含みます。コミュニケーションに困難が生じている患者さんの気持ちを推測できることは、患者さんの立場に立った支援をするためにとても大切です。コミュニケーションが苦手な人にできない仕事ではありませんが、苦手意識を持ちながら言語聴覚士の業務をするのは、本人はもちろん、患者さんにも苦痛をともなう恐れがあることを理解してください。また、学修ではアクティブラーニングを積極的に導入します。複数の人とコミュニケーションを取りながら、一つの考えにまとめていくことが求められます。さらに、教員の話を受け身で聞くのではなく、自分で調べて自分でまとめ、自分の言葉で発表する授業が多いので、自ら積極的に学ぶ姿勢が大事です。